小説の書き方についての考察 (5)

今回で一応最後。
書き漏らしたところとか、諸々書いて終わる。

考察(2)で、自分にとって理屈抜きに好きな作品を、できるだけ若いうちに見つけろと書いた。

この辺で、その考えはおかしいと突っ込まれたので、なぜかということをちゃんと触れる。

人間の価値観というのは、若い頃に触れたものや目の前で体験した出来事、行動によって形成されていく。
重要なのは、理屈抜きに好きな作品を見つけるとかそういうことじゃなくて、
小説やるんだったら、できるだけ若い時に、影響を受けたとか、そういう作品と巡りあっておくことであって、無いからダメだとか言う次元の話をしているわけではない。

沢山漫画なりなんなり見て知ってたら、それだけ物語のパターンを、知らず知らずに学習しているので、書き手になった時に、自分にとって心動かされたシーン、好きなシーン、印象的なシーン。
こういうものを、記憶の中から探しだして、ネタとして使うことが出来る。

で、好きな作品があれば、繰り返し見ているハズで、当然繰り返し見ていたら、それだけ強く頭が記憶している。
そしたら、アイディアのネタ出しにも有利に作用する。

なんだよパクリかって思われるかもしれないが、これが小説の書き手になるための努力の一つだと言う結論に至った。

もし、これを読んでいるあなたが、天才的頭脳を持っていて、知識のないところからまったく突拍子もないネタやアイディア、オリジナリティあふれるフレッシュなシナリオを生み出せる規格外の才能を持っている人種なら、こんな話は余興でしか無いだろう。今すぐその才能を発揮して成り上がればいいと思う。
こんな人材は世の中に実在しないと決めつけているわけではなくて、稀に1%程度の確率で、そういう人間は存在していると思っている(自分がそうだとは言ってない)。

クリエイターの有名な名言に、次のようなものがある。

「アニメを作りたいならアニメを見るな!」

これは、「ガンダム」を生み出した富野由悠季による発言。
自分は、ゲーム業界については堪能だが、アニメ業界はそれほど詳しくないので、どういう状況で富野由悠季がこの言葉を発したのかわからない。

ついでに言うと、怒られるかもしれないが、自分はどうしても「ガンダム」が楽しめず、この人自体、あまりいい印象を持ってなかった。
過激な発言ばかり先に目がつくので、好きになれなかったが、動画で本人を見た時に、どういう人間なのか、ガンダムで当てるまでどういう人生を送ってきたのか、知った今なら、共感できる人物の一人となった。

この発言の意図は、アニメを絶対見るなってことではないと思う。
アニメ一辺倒では作り手にはなれないよって言うことを言いたかったのではないかと思われる。
これは、自分の勝手な解釈であって、富野という人は、アニメで飯を食っていながら、客であるオタクを否定している奇特な人だ。

自分の作ってるアニメは10代向けのもので、20すぎになったら楽しめない、卒業すべきとまで言っている。

一連の富野発言を引用したのは、これは自分にも耳の痛い領域になるのだが、アニメだけに没頭して、人としての成長を止めて、思考停止することにたいして警笛を鳴らしているものだと勝手に思っている。
だから、その辺をちゃんとしていたら、20過ぎてアニメ楽しんでようが、構わないと本人もいうとおそらく思う。



話を脱線させたくないので、これ以上書かないが、自分の勝手な解釈では、アニメ以外のものにも視野を広げて、色々見聞を広めろってことだと勝手に思っている。

自分の結論としては、ゲーム作りたかったら、絶対に沢山ゲームを知っておくべきだと思っている。
これは、アニメにも、他の分野でも、当てはまる絶対の法則だと確信している。
だけど、それ以前に、外で友達と遊んだり、ゲーム以外のもの、何かしらのエンターテイメントに絶対に沢山触れているはずで、その過去の体験を入念に思い返して、その体験を元に、空想をふくらませてシナリオを書いていく。

なにもないところからアイディアなんて出てこないし、作れないわけで、そのためには、大人は口を酸っぱくして勉強しろと言う。
これには、机にかじりついて勉強するだけじゃなくて、色んな事をやって自分の世界のバリエーションを広げていくということを意味している。




考察(4)の中程で、正義と悪が存在しなければならないという話を軽く書いた。

誤解を招く書き方になっていたので、ここで掘り下げて改めて記述する。

人には、それぞれ立場というものがある。
わかりやすく言い換えると、何らかの組織に所属しているか、生まれ故郷など生い立ちがあり、何らかの境遇を経て、生きてきている。

高校なら、3年A組、B組
会社なら、営業部、経理部
ファンタジー世界なら、軍事国家、ファシズム蔓延する悪(っぽく見える)の帝国、平和主義の国、中立国

そういう集まりに、カテゴリーに、必ず所属していなければならない。
(無職とか専業主婦というのも、それ自体一つの立場と言える)

しかし、所属している組織の思想と、個人の思想が、必ずしも一致しているわけではない。
3年A組とB組は、仲が悪くても、組は違っても親友がいて、隠れて仲良くしていたり、
営業部と事業部、方針が違っても、共感できる人がいて、その狭間で仕事をしている主人公
ファンタジー世界のたとえなら、戦いを交えた後で、国は違えどお互いの目指す理想が同じであることに気づき、立場が違って、しがらみに縛られながら、理想を実現するために葛藤しながら生きていく等。

今書いたありきたりの凡例
心の葛藤を、多くの人に「気になる」「続きが読みたい」と想わせるように、魅力的に描いていくのが作家の仕事だ。

もう一つ、シナリオを進行させるためには、役割が必要。
シナリオの進行役、ボケ役、ツッコミ役、言い出しっぺの役、行動役、悪役、ゲームマスター(ご都合主義へ持っていくための調整役)
ちょっと一概に体系化出来ないが、ある一定の、ロールを作って、そのロールにキャラクターを当てはめていく。
これを固定化してる場合もあるし、いわゆる日常アニメ、ギャグアニメのように、ストーリーごとに変形させていることもある。

これについては、テレビのトーク番組などを参考にすると良い。
司会者がいて、クイズ番組ならパネラーがいて、レギュラーなら成績の良い人、中堅、いつも最下位の人が居る。
トーク番組なら、司会者が聞き手になって、ひな壇の出演者相手に話を広げていく。
ロケ番組とか見ててもそうだが、どんな番組でもロール(役割)が設定されていて、それに基づいて番組が進行する。




コメントで指摘して頂いてなるほどと思ったことなど幾つか。

考察(1)では、語彙の豊富さ、表現力はそんなに重要なのか?というお題で、話を書いた。

これに対していや、表現力はたしかに必要だよという意見を頂いた。

そう思って、自分なりに色々考えた。
まず、なぜ、自分が世間的なそういう一般的な考え、ハウツーで書かれていることに対して否定的になっているのか。

答えはやっぱり、一般的に想像されるような努力は間違っていると思ったからだ。
百科事典を開いて、使わない言葉を必死に覚える。果たしてそれが本当に身になっているのか
いや、期待通りの成果を上げるのか?という点について思うと、疑問をいだいてしまう。

自分は、文章を書くのは好きだが、活字離れを起こしている、矛盾した困った人間だ。
そこで視点を変えて、なぜ活字離れが起こっているのかということを分析してみた。

正確には、活字離れという現象は、本能的に、脳が“自分には不要だ”と思った部分を読むのが苦痛で読み飛ばしてしまう現象なのではないかという考えに至った。

少し話を戻すが、じゃあ表現力を培う、魅力的、個性的な文章を書くにはどうすればいいのかという問題になる。

これについては好みの問題が入ってくるため、一概に体系化することは出来ない。
自分の場合は、密度の濃い文章を好む傾向にあり、自分の書く文章もそうあるべきだと思っている。

読ませる文章を書くには、リズミカルで、軽快で、テンポの良いものが一番だと思う。

最も参考になるのは何かと思った時、「歌詞」が思いついた。
「歌詞」は、400字詰め原稿用紙2枚程度、僅か3,4分で朗読できてしまう分量の中に、魅力的なフレーズがいっぱい詰まっている。
思えば、自分が好きだと思った作品は、どれも台詞が簡潔で、短い台詞の中に心を動かすフレーズが盛り込まれている。
歌詞の中には色んな言葉があり、好きな歌を何回も聞いていれば、その中で使われている単語を自然と覚えていく。
「歌詞」は「台詞」を起こすためにとても参考になる表現の仕方がされているということがわかってきた。

1曲、たった1000文字に満たない中に、心境、心情、情景描写がコンパクトに刻まれている。

好きな歌を何度も聞き返すのは、苦痛にならないどころか、心地良い気分になるだろう。

どうしてもシナリオを書こうとすると冗長になりがちで、自分もそれを気にしており、何か良い参考になる物はないのかと悩んでいたが、「歌詞」的に叙述していくのはひとつの手だと考えた。




いよいよ最後の段落となる。

やったことがある人ならわかると思うが、小説を書くというのは本当にキツイ。
何がキツイって、書いてる時点ではなんにもならないことに労力を注いでいるために、とにかくモチベーションが出ないのだ。

時間を決めて書くとか、締め切りを設定するみたいに、自分を追い込むやり方も考えたが、とにかく、作業の取っ掛かりがつかめないと、どうしたって遊んじゃって、本当に困ってしまう。

小説を努力せずにサラサラ書けるような人間だと良かったのだが、自分は残念ながらそういう超人ではないし、頼れる人もいなかった。
そこでなんとか我流で、やり方を考えていった。

ここまで書いてきた考察シリーズの根底にある考えは、なるべく努力を必要とせずに書く方法だった。
つまりは、楽に書く方法をなんとか見出すためのハウツーだったわけだ。

普段、今ブログを更新しているようなノリで、なんとかサクサク小説を書いていきたい。
楽にやろう、楽にやろうと言う方法論を模索した。
そしたら最初に、ケータイ小説みたいに長文にはせず、簡素に表現していくってことだった。

そして、繰り返しになるが、ここまで書いてきたやり方は、自分にとっての方法論であって、
ボランティアで、小説の書き方を指南しているわけではない。

どちらかと言うと、自分に言い聞かせるために、自分のために、書き残しているに過ぎない。

それから、小説を書く上で重要なことを2点。

大勢の人に共感できることを書く
読んでもらえるような面白い文を書く

自分の手のうちを晒していいのかよ?!って話になるが、
小説の書き方を体系的に理論化しようとして、ここまで自分のロジックを書き上げてきた。

書いてる時点で何の成果も上がってない人間のハウツーなんて参考にする変わったやつは中々いないし、
やり方がわかったからって、すぐ成果を上げれると思っているなら、やれるものならやってみろってことだ。
やり方だけ理解したって、実作業が、すぐに実践できるわけがない。




あとがき

いま、ネットゲームを舞台にした、異世界トリップものが、凄い流行っており有象無象の勢いで作品が増え続けている。
自分自身、ネットゲーム初期を体験したこともあり、ネットゲームを題材にした小説を書こうなんて6,7年前から思っていた。

ところが、多くのネットゲームを題材にした小説は、ネットゲームである必然性がないものも少なくない。

自分がネットゲームを扱う場合は、絶対に“ネットゲーム”でなければならないと思い続けていた。
或いは、ネットゲームに縛られ続けて、実際のMMORPGとはかけ離れた設定が盛り込まれたりしているものが殆どだ。
自分はこれについても(いわゆる現実的にありえないチート設定など)、そういう非現実性が入ってくると、多くの人はワクワクしてくるから受けているんだろうが、自分はどちらかと言うと、しらけていってしまうのだった。

自分がネットゲームを取り扱う場合、現実性(なぜしらけるかというと説得力にかけてくるからだと思われる)、
そして、必然性、この2つを絶対にクリアしなければならないと思っている。

自分はとにかく、今は、手を動かすことが大事だと思っていて、複数の作品を平行して書いている典型的なダメ作家志望の状態になってしまっている。
作業が難航しているのは、こういった題材を扱おうとした時に、どうしても途中途中で作業が滞ってしまい、なかなか前に進まないからだ。

それからほんとうに最後。

書こうと思っていたことを思い出したからこのタイミングになるのだが、

つまらない話を面白く書く

作家志望にはとても重要な事だとコメントで頂いた。

例えば、オタク友達に誘われてカラオケに行ったら、アニソンばっかりだったという出来事があるとする。
この、要約するとなんの変哲もない出来事を、いかにふくらませて、面白くドラマティックに読ませるか?ってことが作家の仕事の究極だと言うわけだ。

だから、ブログで日記を作り続けるなんてことは、実は結構、重要な事で、何年も更新出来ているなら、それだけで誇れることだと胸を張っていいと自分は思っている。

他にも色々書きたいことはあるが、非常に長くなったので、このシリーズはひとところ終わる。
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