俺の人生はもう長くない #1

俺は人気のない路地裏にいた。
ここは日本のどこかにある何の変哲もない路地裏。

俺は、右手に何故か日本刀を持っていた。
そして、その一点の曇りもない日本刀から目が離せず、ただただ見入っていた。

・・・何故かニヤついていた。
見るだけで、圧倒的殺傷力を持つ刀であることがわかる。
その、力を手にした自分に対して、気持ちが高揚していたのかもしれない。

前方に、人影。
無邪気な女子中学生だ。
なぜ、女子中学生だと一目見て悟ったのかは謎だが、間違いなく女子中学生だ。

俺は、その子を見つめていた。

そしたら、横に男がいるのが目に入った。

反射的に地面を蹴った。
そいつらに向かって走りだしていた。

一陣の風となり、俺は駆けた。
一瞬で距離が縮まり、カップルらしい男女2人の眼前に迫った。

そして。

俺は、右手に装備していた日本刀で、まず少女をバッサリと斬る。
続いて、その女とベタベタしてた男を斬り伏せた。

まるでゲームの雑魚キャラのように、あっさりと崩折れた。

人を殺(あや)めたというのに、ショックも罪の意識も何もない。
目の前に、衝動的にムカつく奴がいたから、殺した。ただそれだけのことでしかなかった。

背後から耳障りなノイズが走った。

振り返ると、この光景を目撃したジジイが悲鳴を上げていた。

俺は、
俺は、ノイズを消すために、また、風となって、ノイズの元凶の元へ走った。

その間、一瞬だったと思う。
そして、何のためらいもなく、俺はまた人を斬った。

それをきっかけにして、俺は大胆な行動に出た。

(もっと人を斬りたい)

そう思った時、俺の心を読んだのか、
手元の日本刀が、悪魔のような笑い声を発したように感じた。

人通りの激しい、表通りに出た。

激しいノイズが、俺の頭に突き刺さってくる。
そして、力を持たない烏合の衆が、誰もが俺から距離を取り、ただ耳障りなノイズを発するだけで、うろたえている。

俺は、目に付いた奴らを、かたっぱしから斬り殺してやった。

それはまるで、無差別殺人・・・・いや、人を斬り殺すためだけに生まれた殺人マシーン。

自分以外の周りは全て敵で、敵であるそいつらを、ひたすら効率よく殺していく。

殺戮。

そう、これは殺戮だ。

道徳的にやってはいけないことだと理解していながら、俺はひたすらノイズを消すために、この雑魚共を殺し続ける。

「加藤健太!!覚悟!!」

その声の直後だった。

俺は、胸を貫かれ、血を流していた。

イタイ・・・イタイ・・・イタイ

痛覚が俺の身体の自由を奪う。

それまでは、一陣の風となり、主導権は俺にあったはずだったのに。

どうやら、国家権力の象徴である、警察に、俺は拳銃で撃たれたようだった。

俺は、、、
俺はあまりの苦しさに、地面に膝をつき、無残に倒れこんだ。

イタイ。。。苦しい。。。

俺もまた、無力な人間だった。
相手から攻撃されたら、あっけなく命の灯火が消えてしまう普通の人間だった。

俺は、世界に勝てなかった。
ただの人間一人に、できることなんて、限られている。

そもそも俺は、どうして、無差別殺人なんてしようと思ったのだろう?

遠のいていく意識の中、そんなことを考えていた。そして俺は死に絶えた。
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